今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
王太子、激オコです
目の前でアンが消えてしまったミカエルは、イライラで足が止まらなかった。
アンにかかった見えなくなる呪い魔法を早急に解くために、一睡もせずまっすぐジェイドのいる保健室を目指した。
「おい、ジェイド。大魔法使いミカエルの召喚作戦をやらせてやるよ」
「え?」
「俺を魔王に会わせろ。魔王を従えて締め上げて呪い魔法の解き方を吐かせる。見えないアンに吐かせるよりよっぽど簡単だ」
(魔王を従える方が、カンタン?)
「落ち着いてください、殿下」
療養中のベッドの上でジェイドにりんごアーンされていたヘレナは、イッちゃった目をするミカエルから立ち上る黒い魔力圧に喉が詰まりかけた。
鋭い碧眼がギロリとヘレナに向く。
「その女を餌にして魔王を釣るぞ」