今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
本当に誰もがアンを犯人だと疑わないようだ。リリアは勝ち誇った顔で、アンの周りをコツコツとヒール音を鳴らして歩き回る。
「自白なさらないのなら、私が貴女が犯人だと証明してみせましょう」
(す、推理ショー始まった!?)
アンは身に覚えのない「火傷の呪い魔法をかけた罪」の犯人にしたてあげられていた。今思えば、あのミカエルの手紙も罠だったのかもしれない。ミカエルは手紙なんて書かない。
(これ、まさしく断罪イベント……!引導渡されちゃう!)
自分で引導もらっちゃうかもーなんて言っていたフラグを見事に回収したアンは、猫目をぱちくりさせて現状把握に努めた。がんばれオタクの現状把握能力!
「アン様、あなた入学してから、透明魔法を使ってあらゆるところを徘徊しておられたわよね?」
「ぐっ……どうして知って」