今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
無邪気に胸に飛び込んでくるヘレナにアンは自然と顔が緩んだ。
「ありがとうございます、アン様!ジェイド先生といっぱい練習しました!」
「え?ミカエルじゃなくて?」
「ミカエル様は……その、あの、怖い方ですね、アン様……私はミカエル様とこれ以上お近づきはちょっと、そのあれですね遠慮したいです心から」
ヘレナの顔からサッと温度が下がるのを見てアンは、その顔は恋する乙女ではない。
アンが立派になったヘレナと久々の再会で抱擁をしている間に、ミカエルはリリアの隣に足を向けて低い声を出した。
「真犯人はお前だろ?」