今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
悪役令嬢、自由を謳歌します
数日後、なんとミカエルが「別れの挨拶」に訪れた。アンは歓喜に叫んだ。
「えぇえー!ミカエル、留学するの?!」
「早かっただろ?もともと準備してたんだ」
先日寂しくないかと問いただしたのは、俺が留学して寂しくないかという問いだったらしい。全く間違ってない回答をした。寂しくない。
ミカエルとアンの間に物理的距離ができるのは万々歳である。最高だ。
アンはキラキラごきげんマックスの笑顔で、ミカエルの両手を握り締めた。
「ミカエル!元気でね!!」
「ありがとう、アン。期待に応えられるようにやってくる。俺の活躍、よく見とけよ?」
「なんか知らないけど、がんばれ!」
紅の猫目を細めて珍しく華々しい笑顔を見せるアンの笑顔に、ミカエルはご満悦だ。アンが初めて自分から握ってくれた手の指に一本一本キスをして別れを惜しんだ。
(何やってんだこいつ。でもまあいっか!だってミカエル、5年も留学するらしい!
すごくない?!5年だよ!
次会う時はもう乙女ゲースタートだよ!私、大勝利!!)