今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
アンの別れを惜しんだ泣き顔に絆されて、ミカエルは再びドアを開けて登場した。降りてくるなと思うアンをスルーして、ミカエルは捨て台詞ならぬ、捨て爆弾を爆発させた。
「その指輪、俺と通信できるようにしてるから。毎夜寝る前に俺が呼びかけたら返事しろ。それで寂しくないだろ?」
口をあんぐり開けて驚愕したアンは反射的に返事をした。
「いらないいらない!通信とかいらないから!10歳でそんな高度な魔法できるとかおかしいでしょ?!」
「俺がアンに寂しい想いさせるわけにいかないだろ。俺はお前のためなら何でもできるようになる」
「まさか、がんばって?!努力しちゃって?!通信魔法できるようになっちゃったってこと?!」
通信魔法なんて奇特で高度で複雑な魔法を、国でも何人できる魔法使いがいるかという状態の中だ。なのにミカエルは若干10歳でアンのために通信魔法を習得したという。
軽々こなしたように見えるが、裏には血の滲んだ努力が?!なんて想像に難くないことをやってのけてしまった。そういえばミカエルはアンの家にいる間ずっと本を読んでいた。勉強していた。
「言わせるな、恥ずかしい」