今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
(運命の分帰路は婚約破棄が待ってる断罪ルートに乗せられるもっともっと前。
最初から婚約なんてしなければいい!
それがどう考えても一番安全!)
鏡の中のキツめ美少女の心の中で、三十路のオタクは叫んだ。
(今ドキの悪役令嬢は、
婚約破棄どころか、婚約しません!)
アンのやることはすでに決まっていた。
だが、問題はそう。
(私にこれをやる勇気があるかどうか……!)
「お嬢様、ミカエル殿下がお着きです」