今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
部屋に帰って、鏡の中の美少女が美女に進化する過程にいる姿をまじまじ見つめたアンはごくりと唾を飲み込んだ。
「まさか、ミカエルの留学の目的ってそれだったの?!」
アンは右頬の爛れた火傷に触れた。ミカエルがやろうとしていることにアタリがついた。
「まさかこの顔を治すために、治癒魔法を根本から発展せるなんて!恐ろしい子!!」
元から驚異の魔法の天才であるミカエルだ。なのに驚異の努力まで実行する彼の快進撃はすごかった。
父に教えてもらってミカエルの情報を集めたところ、なんと他国の名だたる治癒師をまとめて治癒魔法研究の第一人者に成り上がっていた。若干14歳である。
やばい。才能がおかしな方向に開花している。
ミカエルは何の努力をせずとも暴力的な魔法が強くて、乙女ゲー本編の攻略では頼りになるキャラであった。
なのに、こいつ治癒魔法に熱量を上げてものすごい功績を残し始めた。ドン引きである。奴は本気だ。本気でアンのこの顔を治す気だ。