今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─


とりあずこの火傷顔のうちは見逃してもらえることになったのか、一気に機嫌を急降下させたミカエルは一人でスタスタどこかへ歩いて行ってしまった。



(なんとか追っ払えた。今夜襲撃されるらしいけど、丁重にお断りしよう。きっと淑女の部屋に押し入ってこない。いや、来るか……)



アンは一人で廊下をうろうろしながら、読めないミカエルの襲来について頭を悩ませた。思ったよりグイグイくる。顔が治されたらきっと瞬殺で婚約、断罪死刑ルート復活だ。怖すぎる。



(いや、でも素直にかっこよかった……ビジュ強は認める。でもでもー!ミカエルは今から運命に出会っちゃうからな!愛しのヒロイン、ヘレナに!!)



アンが胸をワクワクで膨らませながら廊下を歩く。乙女ゲーの中で歩きに歩き回ったこの校舎内は、アンの庭だ。この階段を上ればもうすぐ保健室である。



(ついつい保健室に足が向いてしまう)

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