今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
ミカエルの形良い眉がぐっと不機嫌に歪んだ。
(なななにこれ、口止まんない自白魔法?!)
アンは手で口を押さえたが、自分で制御できないままに口が勝手に話し出す。ミカエルに嘘をつけない自白魔法をかけられたようだ。
(一応、今のところ好きな女だよね私?!好きな女に自白魔法かけるとかどれだけ容赦ないの?!)
アンは自分にかけた呪い魔法については口を割らないように、自白魔法の対策を講じていた。だが、呪い魔法以外の情報はノーガードだ。
「でもでもジェイド先生を愛してるけど、愛してるじゃなくて」
「もっと簡単に言え」
「ファンなの!ジェイド先生がヘレナにどうやって恋してどうやって愛を囁いてどうやって抱き締めちゃうのか見たくてたまらないの!そういうのを見るのが好きなの!大好き!」
人前で推し活の告白なんてしてしまって、アンは舌を噛みたくなった。
自白魔法の効果は1分程度だ。アンはやっと己の意思で口を閉じることができるようになったが時すでに遅く、ミカエルはにんまり嬉しそうに笑っていた。
「ジェイドを男として見てないことはわかった。人の恋事情を出歯亀したいってことだろ?」