今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
アンのスカートを掴んで棒立ちしているヘレナを守るように一歩前に出て、アンは手をかざす。
「ヘレナに、良いところ見せなくちゃね!」
にこりと笑ったアンは小さく練った火の玉を指先でピンと弾いて、泣き叫んでいる女生徒の背中に這い上がるベビートロールの頭を弾け飛ばした。
「一匹目」
アンは床に這いつくばって毛を毟られている男子生徒に馬乗りになっているもう一匹のベビートロールの頭を、濃度の高い火の玉でぶち抜いた。
「おしまい」
アンがヘレナに向かって猫目をパチンとウインクすると、事切れたベビートロールの身体は滅びて砂になっていった。
「だ、大丈夫ですか?!すぐに保健室に!」