今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
10歳の少女が自らの顔に焼き印を押す姿に、ミカエルは呆気にとられた。
痛みに顔を覆って痛みに叫ぶ女は狂気だ。
「アッハ!ハハハ!」
焼けた顔半面を手で抑えるアンはブロンドを振り乱して、高笑いした。
「やった……アハハ!やったわ!」
痛みが身体を超越してアンにテンションハイを引き起こす。勝ちルートに乗った悦に浸って焼けた顔が緩む。
「残念でした、ミカエル殿下」
顔半面を火で焼いたアンは、立ち尽くす少年ミカエルをふり返る。
痛みに生理的な涙を浮かべて年不相応の妖艶さで微笑んだ。
「私は、あなたの思い通りに……ならないの」