今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
アンは半泣きだった。別にリリア嬢に嫌われてもいいが、ヘレナがもう怯えて近寄ってこないかもしれないと思ったのだ。
だがヘレナの反応は予想外だった。
「アン様!カッコよかったです!私もあんな風に魔法を使えるようになりたいです!」
ヘレナはキラキラ輝く金色の目で、アンを絶賛してくれた。ヘレナは誰より素直で可愛い子なのだ。
だからみんなが好きになる。
授業を終えたアンとヘレナは、中庭でアンが持参したサンドイッチを広げてお昼ご飯を食べていた。
「そんな風に褒めてくれてありがとう、ヘレナ。嫌われたかと思った」
「嫌ったりしません!尊敬です!」
ぼっちなアンは食堂にてご飯を食べにくい。ヘレナも平民出身の異端さで友だちができにくい。
ぼっちな二人で丁度良い関係になれそうだ。
「私、まだ全然魔法を使いこなせなくて……」