今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
自信なさげに弱々しく笑うヘレナが、サンドイッチを一生懸命ちびちびと口に運ぶ様子を見ているだけでアンは幸せになれた。
ヘレナはこれから聖魔法を使いこなして、校内で復活しようとする魔王を討伐して名高き聖女となるのだ。
「まだまだこれからよ、ヘレナ。大丈夫!私がヘレナが立派に魔法を使いこなすって保証するわ!」
「アン様……ありがとうございます!」
アンは誰より自信を持ってヘレナの背中を撫でると、ヘレナは涙ぐんだ。
心細かったのかもしれないと思うと庇護欲が掻き立てられてアンの胸がキュっと縮んだ。正ヒロイン可愛い。
「実は、アン様……私、アン様に図々しくもご相談があって」
「何?なになになに?私、ヘレナのためなら何でも」
「恋の……」