今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
サンドイッチを意地で飲み込んだアンは思わず勢いよく立ち上がって、宣誓しようと思った。
こちらこそ末永く出歯亀マジよろしくです!と叫びたくて口を大きく開いた。
「は……グッ」
「アン、浮気か?」
アンが宣誓する前に、口を大きな手のひらに力いっぱい覆われてしまった。どこから現れたのかわからないが、背後からミカエルの声だ。
「俺以外の男と話すなって言ったよな?」
「んー!んー!」
言ってなぁあい!ジェイドと話すなとは聞いたことがあるが、了承もしてなければ、今は俺以外の男と話すなに禁止範囲が拡大している。
突然王太子ミカエルが現れて、ジェイドはクスクス笑った。
「ミカエル殿下、瞬間移動魔法ですか?」
「校内で、条件下のみでな」
「推測するに条件は……アン嬢が他の男と会話」
「言わなくていい。これはまだ習得中だ」
「お見事です。私も見習いたいですね」