今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
ジェイドが眼鏡を上げ直してからパチパチと手を叩くと、ミカエルはふぅとため息をつく。
アンは口元にくっついたミカエルの手を離そうともがいたが、全く手は動かない。力強すぎる。
(ミカエルが瞬間移動魔法を習得中とか、悲報過ぎるんですけど!)
留学中にも何度も思ったが、ミカエルがどこであろうと飛んで来る瞬間移動魔法は危険が多すぎる。アンの自由がなくなる。
アンが絶望に喘いでいる横で、ジェイドは平然とミカエルに話しかけた。
「殿下、ご依頼の件なのですが、今ご報告させてもらっても?」