今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
わざわざ腰を曲げて、アンの下からおねだり目線を突き刺してきたミカエルにアンはゾクソクした。下腹からのゾクゾクが腰にクる。
「へ?」
「機嫌とってくれたら、大人しく……いい子にできるかもよ?」
アンの猫目がチカチカするくらいミカエルの顔が天才だった。
(んん”!か、顔が良い!!)
ミカエルの思惑通りに、アンの顔が淡く桃色に染まって、ミカエルはがっちり感触を得た。
(俺の顔、使える)
アンはもじもじと両手の指先を重ねて視線をうろつかせた。
ミカエルが俺様の機嫌とりやがれ!と来たら、イヤだ!で反発できるのに、機嫌とってよ?にはなぜか反発心が起こらなかった。
(なんだこいつ、かわいいな、狡いな。言ってることずっと俺様のくせに態度一つで許されると思うなよ……
任せとけ機嫌とってやんよ!)