今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─




毎夜ベッドで「報告しろ」と勝手に命令してきた指輪から


「アン、お願いがあるんだけど」


とミカエルが呼びかけるようになった。そう言われると、アンはついつい「何?」と返事をしてしまう。



そうするとミカエルが嬉しそうにクスッと笑って


「今日の話をして?」


と言うのだ。アンはそう言えば今日はヘレナと図書室に行って呪い魔法の本を読んだ、などと話してしまう。


以前は三食何を食べたかを機械的に報告するような時間がちょっと楽しくなってしまった。



ミカエルの報告せよの習慣は何も変わっていないのに、何が変わったのかアンにはよくわからなかった。


だが、こいつ、偉そうにしやがってとイラッとする回数が減った。言ってる内容自体は特に代わり映えがない俺様仕様だ。


なのに、なぜか棘がないのだ。

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