今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─

ミカエルはアンの知らないうちに、着実にアンの懐にいい具合の場所を確保する術に長けてきていた。


アンの心を掴むには

命令より、おねだり。

偉そうより、あざと可愛くだ。


力押しだった幼さが抜けて、狡賢さを学んだミカエルは術中なアンがますます可愛くなった。


「アン、聞こえるか?」


今日も指輪が声をあげるので、アンはもう明かりの消した部屋のベッドで寝転びつつ返事をした。


「はい、何?」


ミカエルは王太子の公務に加えて、ミカエルだけが使える治癒魔法の依頼を受けたり、アンの右頬にかかった呪い魔法を解くための文献巡りだったりと多忙だ。


学校内では会うことも珍しい。

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