澄ましたメイドのご主人様。

「自己愛が強いと言うことも,わがままや他人を見下しているとも言えない。ただ少し……背伸びをしすぎていると言うような……根本的な原因は,寂しさや孤独にあると思うんだが……」


なるほど,それは確かに拗れているのかもしれない。

言えないというのは恐らく,広く捉えれば部分的な要素は持っていると言うことだろう。

16歳の背伸びとは,これまた如何に。

私の周りにも,マセている男女は少なからずいる。

けれど,それとはまた違うんだろう。



「どう接してあげればいいのか,最早分からなくなってしまってね。突然態度を変えようにも,逆に怪しまれ悪化してしまいそうなんだ」



関係がない人間ほどよい。

そう言う意図が伝わってくる。

異性ではあるものの,凡庸に生きる私こそが拗れた息子に影響を与えられるはずだと,期待されている。



「お忙しい御2人に代わり,主にご子息の話し相手となる。それでよろしいでしょうか?」



私一人の解釈で,間違いがあっては困る。

表情1つ変えずに話を飲み込むと,ややあって



「そうゆう事だね」



と旦那様は笑った。
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