澄ましたメイドのご主人様。
「勤務時間については聞いたかな?」

「はい,それのみ心得ております」



平日は5~7時。

休日は好きな時間から7時の間で,3時間。

時給3500円で,シフトは私の気分。

口上で伝えると,間違いないよと微笑まれる。



「勤務内容についての具体的な内容だが,実は特にない。1つ言えることがあるとするなら,息子の,茉悧の側にいてくれたらいい」



茉悧と言うのか。

綺麗な名前だ。

だが,ただ側にいてやれと言うのも困りもの。

座っていればいいのか立っていればいいのか。

しつこく話しかければいいのか,話しかけられるまで待っていればいいのか。



「とは言えただそこにいろと言われても困るだろう。茉悧の部屋とその隣室の掃除や片付け,自分を含めた夕食の買い出しや調理など,好きに働いてくれて構わない。費用は私が出そう。もちろんこの家のお菓子やお茶も好きにしていい」



賄い。

その言葉が私の脳裏を過る。

とてもよい話ではあるが,含めたと言う以上,茉悧という人の分も作らなくてはいけない。

大層なもの等,私に作る腕はない。

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