澄ましたメイドのご主人様。
「どうしても向かなければ,ここへは月1度来てくれるだけでいい。もちろん,いつでも契約を解消することも出来る」



なんていい条件なんだろう。

それも息子への,愛故か。


「息子のせいや君自身の望みがあれば,勤務時間は延長してくれて構わない。残業とみなして,時給を1000円程上げることにする。帰りは2階奥の山中さんと言う方に声をかけてくれれば,その分きっちりカウントされるよ」



2階奥の,山中さん。

この職場になんの不満もない私は,頭にじっくりと染み込ませた。

なにせこの豪邸は,広い。

迷子になってしまう。


「但し,夜の延長は1時間,8時まで。平日が5時からなのは学校生活を気にしての事で,どちらも上限が7時になっているのは五十嵐くん達が心配するから」



いいね? と瞳で訴えられる。

五十嵐くんと聞き慣れない言葉に,お父さんと旦那様の学生時代を想像した。
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