澄ましたメイドのご主人様。
「どうゆう経緯でそうなったの? お父さん」
「実は……最初に少し,トチってしまってな……家のお金だったものだから,こりゃ怒られると,思い……それで,知人に進められたものを……買ったんだが……」
それが見事に失敗したと。
最初の失敗の時点で相談して貰えれば……
お金の関わる問題で,他力本願な真似をするなんて……
「はあ……仕方ないわ。あなたはちゃんと反省して。私もパートを始めるから,当分は家事も殆んどあなたがするのよ」
専業主婦だったお母さんはおでこに手を当てて,そんな宣言をした。
目や言葉は厳しくも,お父さんの事はそれで許すと言うことなんだろう。
「じゃあ,私も。私に出来ないことなんてそうそう無いと思うし」
電話,入れるしかないな。
近くて,待遇の悪くないところ。
飲食店なら,食費も浮く?
「いいのよ花蓮。バイトは自分がしたいと思った時にしなきゃ。稼いだお金も,全部花蓮のもの……」
「あ,じゃあ……!」
お父さんは落とした首を上げ,思い出したようにキラキラとした瞳で私をみる。