澄ましたメイドのご主人様。
長野さんの案内で私はまた歩く。

次からはきっと1人。

そう意識し,全体を瞳に映し進んだ。

景色が差程変わらない為,部屋の数や曲がった道で落とし込まなくてはいけない。

階段を登り,更にもう1つ上。

1番,上なんだ……

静かに瞳を瞬く。

けれど,それでも景色は変わらない。

私には広すぎる廊下。

端を歩きたいのに,煌めく廊下にはいかにもな壺があって。

高い壺は,お金持ちのステータスなんだろうか。

歩くだけの静寂で考える。

何であれそう言うものなのだからと,万が一にも割ったりしないよう,私は無駄に広い廊下の真ん中を歩いた。

長野さんが立ち止まる。

着いた……?

板チョコみたいな部屋のドア。

響くようにノックして,長野さんは声張った。

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