澄ましたメイドのご主人様。
「ご飯の材料以外に,何か欲しいものはありますか?」



私は茉俐様に尋ねる。

少し間を置いた茉俐様は,口にしてみただけという口調で



「麦茶……飲んでみたい」



と小さく答えた。



「左様ですか」



私も意味が分からなくて,適当な返事をする。

飲んで"みたい"……?

もっと普通に望んでくれればいいのに。



「うーん,いい,のかな」

「ダメなことなどありません。茉俐様がお迷いになるのは何故ですか」



旦那様にも,与えてはいけないもの等特に聞いていない。

しかもそれが,麦茶?

なんなら家から持ってきますけど。

< 37 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop