澄ましたメイドのご主人様。
「茉俐様は,まるで買い与えられる物によって育てられて来たみたいな言い方をなさいますね」



与えられ続けられることは,そんなに不安になるもの?

その気持ちを信じられなくなるものなんだろうか。

茉俐様はどう反応していいか分からないように,困った顔をしていた。



「それは違いますよ,間違いです。旦那様は,お二方は茉俐様を想っています。根拠もあります」

「根拠?」

「私の存在です。忙しく自分ではどうしよもないと,きっと初めて物ではなく,命や心ある人間を茉俐様に送ったのです」



茉俐様の心を,案じて。



「体温があって,舌が回って。茉俐様の為に私は今ここにいます」



必要あればハグくらいも厭わないことにしている。

それは,今なんだろうか。

< 39 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop