澄ましたメイドのご主人様。
「初めまして,花蓮ちゃん」



名乗るより早く,挨拶をするより早く。

出雲様というお客さんは,先に挨拶をしてしまった。

下の名前……

と思いながら,ペコリと最初に出来なかった全てを行う。

その頭は

イケメンの幼馴染みは,軽そうなチャラいイケメン。

なんて失礼なことを考えてしまっていた。



「聞いてた通り,可愛いね花蓮ちゃん」



ちゃん付けが,耳に痒い。

聞いてた通りと言う1点に集中していた私は,思わず息を止めて。

……茉俐様はそうゆう人だった。

と,普段を顧みた。

だとしても,恥ずかしげもなく可愛いだなんだど,まさか外でも発信しているなんて普通は思わない。



「茉俐のとこでも楽しい? 衣装もメイド服? 可愛いね」



名前の呼び方と言い,私はキャバ嬢要員として呼ばれたのかと思うほど,出雲さまの距離の詰め方はえげつなかった。

キャバ嬢の経験も,してみてもいいかもしれないとは過るけど。

今は確かに,私はただのなんちゃってメイドなのだから。



「はい,楽しいです」



私は目を伏せて,正直に答えた。



「へぇ」
< 48 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop