澄ましたメイドのご主人様。
「……なにか?」
「ううん,何も。でも一瞬怖がらせちゃったみたいで,ごめんね? ねぇ……女の子好きでしょ? なんて,頼んだらくれるみたいだと思わない?」
「私の雇用主は旦那様ですので,茉俐様は手放すこと1つ出来ませんが」
「そうなんだ。でも花蓮ちゃんは茉俐が大事に見えるから,要らないって言われたら直ぐに辞めるんじゃない? そしたら,俺のとこに来なよって俺は言える」
何が言いたいんだろう,出雲様は。
私は簡単に切られる存在だとでも?
仮にそう私が離れていったとして
「私は出雲様の家で働くつもりはないので,その場合もプレゼントされたことにはなりませんね」
私は今のこの環境に満足している。
近さ,働きやすさ,お給料……そして茉俐様がいること。
ここ程私の求める居場所は他にない。