いつか永遠の眠りにつく日まで
建国記念パーティーは、それはそれは華々しいものだった。


見たこともないような煌びやかな飾り付けに、響き渡る演奏。美味しそうなご馳走に、ホールを埋め尽くすカラフルなドレス。


(そういえば私、パーティーなんて初めてだわ。)


冷静になってみると、自分がいかに社交界から遠ざかっていたかを思い知る。

ダンスを始め礼儀作法はもちろん叩き込まれているが、城に閉じ籠っている私にはパーティーは無縁だったのだ。


(私の誕生日だって、パーティーは開かないものね。)


お父様の誕生日も私の誕生日も、パーティーは開かない。

お父様の誕生日には式典を、私の誕生日には私への謁見が許されるだけである。



「リーリア、緊張してる?」



ホールのステージ脇のカーテンからホールの中を伺い見ていた私に気付いて、マーテルが可笑しそうに笑う。

マーテルは私よりもこういった場には慣れているようだった。



「緊張というか、圧倒されるわ。」

「そうだよね。」

「でも、大丈夫よ。ダンスも礼儀作法も叩き込まれてるもの。」



そう笑うと、マーテルは安心したように1つ頷いてみせた。



「その様子なら、大丈夫そうだね。」

「えぇ。」
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