いつか永遠の眠りにつく日まで
「娘のリーリアだ。」



不意に名前が呼ばれた。

どうやらぼんやりとしているうちに、お父様の挨拶が始まっていたらしい。


私は慌てて、けれどそれを悟られないよう壇上へと歩みを進めた。

そしてお父様の脇へ着くと腰を折ってお辞儀をした。


特に言葉は発しなかったが、きっと声が震えてしまっていた。



「リーリア。下で踊ってくるといい。」



挨拶を終えたお父様が、私に声をかける。

お父様は玉座に座っているようで、私もその脇の玉座に座ってお父様と一緒に時が過ぎるのを待とうと思っていたのに。



「強制はしないが、良い機会だ。」



城に閉じ込めているのはお父様なのに。

そんな文句をグッと飲み込んで笑顔で頷くと、ステージの階段をホールへと降りて行った。


すると、すぐに周りを囲まれてしまった。



「リーリア様、お初にお目にかかります。」

「リーリア様、本日はおめでとうございます。」

「リーリア様。」

「リーリア様。」



沢山声を掛けられて嬉しく思う傍ら、慣れない状況に私はいっぱいいっぱいだった。

人付き合いは、私が思う以上に大変なことのようだ。


すがるように後ろを振り向くと、ステージ付近に立っていたマーテルもやはり多くの人に囲まれていた。
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