いつか永遠の眠りにつく日まで
ここで何か起きる前にと、私は慌てて2人の間に割って入った。



「マーテル。私、レオ様に庭園をご案内してくるわね。」

「……。」



マーテルはレオ様と静かに見つめ合った後、右手を左肩に当ててお辞儀をした。



「どうぞ、ごゆっくり。」

「あぁ、感謝する。」

「…俺はここにいるから。」



そう言うと、マーテルは踵を返し、バルコニーの隅にあるベンチへと向かった。



「…失礼しました、行きましょう。」

「あぁ。」



あんなマーテルは初めて見た。

レオ様がデネブリスの方だから、敏感になっているのだろうか。


私たちはバルコニーから庭園へ降り立つと、庭園をゆっくりと歩いて回った。レオ様は歩き方まで優雅で、そこにいるだけで辺りが華やかになったような感じがする。

私たちはガゼボの下へやって来ると、中のベンチに腰掛けた。



「美しいな、ルチェルナの庭園は。」

「ありがとうございます。」

「デネブリスではこうもいかない…。」



デネブリスはルチェルナの温暖な気候と違い、非常に寒冷な気候と聞く。

そのため土も貧しく、かつてのデネブリスは国交に頼ることが多かったそうだ。
< 14 / 133 >

この作品をシェア

pagetop