いつか永遠の眠りにつく日まで
そよそよと吹き込む風が、庭園に咲く花々の匂香りを運んで来た。



「俺も全力でお前を守るから! な!」

「えぇ。」

「じゃあ、俺は稽古に戻るな。」



くるりと踵を返すと、ガシャガシャと鎧の音を立てながら、元来た方へと歩いて行った。

私は再び窓の縁に頬杖をつくと、ふと目を閉じた。


(デネブリスの王は、一体どんな方なのだろう。普通に会話が出来るような方だといいなぁ。)


話が分かる方ならなお良いが、そこまでは求めない。とりあえず、和やかにお話し出来る方であれば。


とはいえあのデネブリスの王だ。

どんなに気性が荒く、ガタイの良い方でも驚きはしないだろう。


(あぁ…、逃げ出してしまいたい。)


逃げる所なんて、ないのだけれど。

せめて建国記念パーティーの出席から逃れたいのが本音である。



「リーリア様、休憩はそろそろ終わりにして続きを始めましょう。」



背後で扉が開く音がして、続いて先生の声がした。



「えぇ。」



翌日。朝から沢山の馬車がやって来て、遠方からの来賓の方々が着実に城へと集まり始めていた。

私はといえば、1日中扉の前に厳重な警備を敷かれた上で、自室に閉じ込められていた。
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