いつか永遠の眠りにつく日まで
「ふふ、ありがとう。」

「さて、まずは建国記念式典だ。」

「えぇ。護衛よろしくね、マーテル。」

「あぁ、任せろ!」



マーテルはこう見えて騎士団の中でも騎士団長補佐を務める実力の持ち主だ。

(マーテルが隣にいるなら、頑張れそう。)


そう思いながら、明るい日の差し込む廊下を、バルコニーへと向かって歩き出した。


今日は建国記念日ということで、それに伴うイベントが国中で行われるようだ。


城では朝から建国記念式典が行われ、夜には隣国の王族や貴族を招いて建国記念パーティーが行われる。

城下では国王によるパレードが行われる他、地方では他のイベントが行われるらしい。


(デネブリスがルチェルナを狙っている可能性がある中、城下でのパレードを行うのは危険ではないのかしら…。)


もしデネブリスがこの機に乗じて攻めてきたら? けれど、そのためには多くの軍勢がゴルディス山脈を越える必要がある。

そうなれば、攻め込まれる前に恐らく気付くだろう。



「なーに難しい顔してんだ? リーリア。」

「っ……!」



突然顔を覗き込まれ、思わず息を飲む。

想像以上に私が驚いてしまったようで、マーテルはバツが悪そうに苦笑した。
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