ふたりの道が重なるまで
『キモイけど、しょうがない。
ねー、あなた今日の夜空いてる?』
『勉強するから空いてない』
『はー?そんなの予定のうちに入んないでしょw
今夜19時にここのレストラン集合ね。』
目の前に突き出されたスマホには地図とおしゃれな名前が映し出されてあった。
『どういう意味?』
怪訝な顔を浮かべる私のことを無視して、取り巻きたちが私のカバンを奪い取った。
『あー!!あったあった!桜子スマホあったよ~』
『連絡とる人いるのー?wwあなたにスマホはは必要なさそうだけどwww』
……………
『ねー、桜子。こいつ何も抵抗しないし立ちすくんでるだけで不気味だよ。本当にこいつでいいの?』
『しょーがないじゃん。』
意味が分からない会話を続ける桜子たち。
『あなた名前ななって言うんだね。今晩は私達と一緒にディナー楽しみましょう!
私のLINEと集合場所入れておいたから、ちゃんと時間通りに来てね。』
私のスマホを近くのゴミ箱に放り捨てた桜子はそのまま横を通り過ぎていった。