ふたりの道が重なるまで


約束通り、19時に桜子の指定したレストランに到着すると、黒いスーツを着たウェイターに出迎えられ、廊下の突きあたりの部屋まで案内された。



部屋の中から桜子の笑い声が聞こえる。


10分前行動が当たり前の私よりも先に桜子が来ている事実に少しだけ驚いた。



桜子の大きい笑い声に混ざり、低い男の人の声も時折聞こえる。




桜子と取り巻きA、B、Cだけだと思っていたが、聞き慣れない男の人の声で、体が金縛り状態になる。



引手に手をかけたまま動けずにいる私。




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