その指に約束のキスを
「えぇ!?
あの小さかった諒くん!?」
「確かに引越しして優希姉ちゃんと離れてから10年経ったけど俺そんなに変わってないでしょ?」
私は首を横に全力で振って否定する。
「かなり変わったよ!
あ、いい意味で」
「じゃあ俺と結婚してくれる?」
私は諒くんの顔の前に右手を出す。
「それとこれは別です」
「約束したのに」
「えっと…約束したの?」
「したよ
だから俺来たんだし」
そんな大事な事を忘れてる自分に呆れ、
その場で固まる。
「あ、誓約書見る?」
「誓約書なんてあるの!?」
私は諒くんからきちんとクリアファイルに入っている誓約書と書かれた用紙を受け取る。
【誓約書
私、桜優希は大人になったら東雲諒くんと結婚する事をここに誓います】
子供心に書いたであろう何ともたどたどしい字で書かれた誓約書。