だって、しょうがない
翔は、ハンドルにもたれ、ゆっくりと話し出す。
「……オレ、福岡にいるとき、宿泊しているシティホテルのロビーで愛理さんに似ている人を見かけたんだ」
その言葉に愛理は弾かれたように翔へと視線を向けた。翔はハンドルにもたれたまま、何かを思いだすように、窓の景色の一点から視線を動かさない。
「髪型もオレの知っている髪型と違っていたし、まさか福岡にいるなんて思いもよらなかったから……似ている人だと思ったけど、本人だった」
そして、視線を落とした翔はポケットからスマホを取り出した。愛理は息を詰め翔を見つめている。
「……」
「それに……ひとりじゃ無かった」
と言って、翔は自分のスマホを愛理へ向けた。そこには金曜日の晩、北川に寄り添う愛理の姿が収められていた。
それを見た瞬間、愛理は積み上げていた物が崩れるような感覚に襲われ、こらえ切れずに瞳から涙があふれだす。
泣くつもりはなかったのに、抑えようとしても抑えきれない。
「ごめん、泣かせるつもりじゃなかった。ただ、オレもショックだったんだ」
肩を震わせ声を押し殺すような泣き方をする愛理の様子に、翔は心を軋ませた。
「……オレ、福岡にいるとき、宿泊しているシティホテルのロビーで愛理さんに似ている人を見かけたんだ」
その言葉に愛理は弾かれたように翔へと視線を向けた。翔はハンドルにもたれたまま、何かを思いだすように、窓の景色の一点から視線を動かさない。
「髪型もオレの知っている髪型と違っていたし、まさか福岡にいるなんて思いもよらなかったから……似ている人だと思ったけど、本人だった」
そして、視線を落とした翔はポケットからスマホを取り出した。愛理は息を詰め翔を見つめている。
「……」
「それに……ひとりじゃ無かった」
と言って、翔は自分のスマホを愛理へ向けた。そこには金曜日の晩、北川に寄り添う愛理の姿が収められていた。
それを見た瞬間、愛理は積み上げていた物が崩れるような感覚に襲われ、こらえ切れずに瞳から涙があふれだす。
泣くつもりはなかったのに、抑えようとしても抑えきれない。
「ごめん、泣かせるつもりじゃなかった。ただ、オレもショックだったんだ」
肩を震わせ声を押し殺すような泣き方をする愛理の様子に、翔は心を軋ませた。