だって、しょうがない
「……共犯者?」

「んー、ちょっと違うか……犯罪を犯すわけじゃないから、共謀者の方が近いかな?」 

 と冗談めかしに、肩をすくめた。

「翔くん……」

「兄キと離婚できるようにオレが手伝うよ。その代わり、もうマッチングアプリを使うような危ないことはしないと誓ってくれる? まだ、そのアプリが残っているなら、今、消して欲しい」

 翔の言葉で、愛理はあの猫のアイコンのアプリをそのままにしていることを思い出し、慌ててスマホを取り出し、アンインストールをする。
 
「アプリは削除したけど、夫婦の問題に翔くんを巻き込むのは……。どんな結果になったとしても、淳と結婚した私が自分で決着をつけないといけないんだと思う」

 愛理の言葉に翔はふっと微笑む。

「愛理さんが、決着をつけることには変わりないんだよ。本当に甘え下手だな。例え夫婦間の問題でも自分一人で抱え込まずに、助けてと言っていいんだ」

「でも……」

「兄キと暮らして行くの辛いんだろう?」

 愛理は黙ってうなずいた。

「まずは、腹ごしらえをして、愛理さんの荷物を取りに行く。そして、生活が落ち着くまでオレの家で暮らして欲しい」
 
 生活が落ち着くまで、翔の家で暮らす。
 翔から出た提案に愛理は緊張して、顔をこわばらせた。





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