だって、しょうがない
「不倫相手の手がかり見つけたの?」

 それを訊ねられるとどこまで話していいのか、愛理は返事に困る。さっきと同じように少しの本当を話す事にした。

「うん、淳のスマホに残されていたLIMEの履歴をスクショしてあるけど、相手まではわからないんだ」

「そうなんだ。相手がわかったら慰謝料ガッツリ請求してやりなさい」

「今度、弁護士さんのところに相談に行くから、いろいろ教えてもらってみるね」

 不倫相手が美穂だったことは、今は由香里には言えない。
 決定的な証拠は掴んでいるけれど、説得力を持たせるのには、細かい出来事も集めておきたい。由香里が愛理の味方をして美穂へ怒りをぶつけたり、逆に美穂の心配をして相談に乗るような真似をしたり、こちらの動きが伝わると、せっかく掴んだ不倫の証拠の更新はおろか今までの物も削除されてしまうかもしれないからだ。
 
「はぁー、そう言えば、淳君ね。今だから言うけど、大学のときも陰で遊んでいたんだよね。深夜クラブで見たことあったんだ。でも、愛理が淳君と幸せそうにしていたから言えなくて……。ちゃんと言っておけば良かった。ごめんね、愛理」

「由香里のせいじゃないよ。私も若くて見る目が無かったんだと思うよ」

「でもさ、男の人って、真面目な人よりチョット遊んでいる人の方が、女の扱いも上手いし、魅力的に見えるよね」

「確かに、そう思う」


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