だって、しょうがない
窓を開け放っている部屋の片隅で、抱き留められた愛理の鼻先に、翔が付けている香水の爽やかな香りがする。
そして、耳元で声が聞こえた。
「ごめん、やり過ぎた。愛理さんケガしているのに、ごめん」
耳に吐息がかかり、間近にある広い胸板の厚みを感じて、愛理の心臓はドキドキと早く動きだす。
「ううん、ありがとう。私も恥ずかしいからって、ムキになって大人気ないね」
と言って、離れようとしたけれど、その腕はほどけない。
抱き留めている手にギュッと力がこもり、翔の心臓もドクドクと脈動しているのがわかった。
「愛理さん……」
耳に翔の切ない声が届く。
けれど、突き放すことも抱きしめることも出来ずに、ただ翔の温かな腕に包まれている。彼の優しさを享受するばかりで、なにも返していない。愛理は、そんな自分をズルいと思った。
翔から離れるのが怖いくせに、その手を掴み飛び込む勇気を持てずにいる。
「翔くん……」
そう呟いて身じろぐと、翔がハッとして腕が解かれる。
「ごめん。何もしないって、言っていたのに……」
「ううん、転びそうなところを助けてくれたんだよね」
こんなことを言って、逃げ場を作るのも、愛理は自分が、ズルいような気がしていた。
愛理がそんなことを思っているとは知らない翔は、眉尻を下げ、バツが悪そうに言う。
「アルバムって、他の人に見られると困る写真もあるのに、調子に乗ってホント、ごめん」
そして、耳元で声が聞こえた。
「ごめん、やり過ぎた。愛理さんケガしているのに、ごめん」
耳に吐息がかかり、間近にある広い胸板の厚みを感じて、愛理の心臓はドキドキと早く動きだす。
「ううん、ありがとう。私も恥ずかしいからって、ムキになって大人気ないね」
と言って、離れようとしたけれど、その腕はほどけない。
抱き留めている手にギュッと力がこもり、翔の心臓もドクドクと脈動しているのがわかった。
「愛理さん……」
耳に翔の切ない声が届く。
けれど、突き放すことも抱きしめることも出来ずに、ただ翔の温かな腕に包まれている。彼の優しさを享受するばかりで、なにも返していない。愛理は、そんな自分をズルいと思った。
翔から離れるのが怖いくせに、その手を掴み飛び込む勇気を持てずにいる。
「翔くん……」
そう呟いて身じろぐと、翔がハッとして腕が解かれる。
「ごめん。何もしないって、言っていたのに……」
「ううん、転びそうなところを助けてくれたんだよね」
こんなことを言って、逃げ場を作るのも、愛理は自分が、ズルいような気がしていた。
愛理がそんなことを思っているとは知らない翔は、眉尻を下げ、バツが悪そうに言う。
「アルバムって、他の人に見られると困る写真もあるのに、調子に乗ってホント、ごめん」