だって、しょうがない
”アルバムって、他の人に見られると困る写真もある”
翔の言った言葉が、愛理の心の中にストンと落ちた。
愛理は、驚いたように目を大きく見開き、独り言のように言う。
「……そうだよね。他の人に見られると困る写真もあるよね」
「ごめん」
「ううん。翔くん、ありがとう」
そう言って、愛理は子どものように無邪気な笑顔を浮かべる。
「愛理さん?」
普段、見たことがない愛理の表情を 翔は不思議に思った。だが、気がつけば、愛理は片手で、テキパキと荷物をまとめ出していた。
「トランクルームも借りないといけないよね。ざっと調べたら、敷金、礼金、カギ代とか結構かかるし、2か月とか3か月借りないといけなかったりするんだよね。そろそろ本格的に部屋を探そうかな?」
ホテル暮らしも味気無く、ちょっとしたことが不便だ。何せ収納が無いのが辛い。
荷物の行き場を考えて、うんざりした愛理は頬に手をあて、真剣に悩み出した。
「トランクルームも面倒だろうから、荷物はオレのマンションで預かるし、部屋探しも手伝うよ」
「ありがとう、助かる。なるべく早く部屋を探すね」
愛理は、まとめた荷物を見て、大きく息をはき出した後、翔へ顔を向ける。
「翔くん、もし、この後時間があったら、見守りカメラに残っている映像の確認、一緒にしてもらってもいいかな? ひとりで見るのは、ちょっと、キツイから……変なことお願いしてごめんね」