だって、しょうがない
「まあ、たまたま紹介された人が田丸さんだったの。ご縁ってあるんだなって思ったわ。来月に婚約パーティーをすることになって、参加してもらえると嬉しいんだけど、コレ、招待状なの。ぜひ来てね」
美穂は、ブランドのバッグを持ち上げ膝の上に置いた。そのバッグは南京錠が付いたデザイン、MがインストにUPしていた物と同じだ。
それに気付いた愛理は、ひゅっと息を飲み込む。
表情を固くさせた愛理をよそに、美穂はバッグから薄いグリーンのバラが印刷された封筒を取り出し、3人に手渡した。
「これ、招待状なの。よろしくね」
その封筒には、各自のフルネームが記入されている。愛理の封筒には、”中村愛理様”と書かれていた。
自分の封筒から視線を上げると、美穂の横に座る佐久良へ渡された封筒の文字が目に留まる。
” 佐久良 麻美様 ”
「え!?」
いつも佐久良と呼ばれていて、フルネームなど気にしたことが無かった。
でも、淳のLIMEのあやしい人物の ”浅見" は、もしかしたら ”麻美” ではないのかという、考えが過る。
その一方で、淳の不倫相手がインストにUPしていたバッグを同じ物を持っている美穂のことも疑わしく思えてしまう。
── 佐久良ならともかく、御曹司と結婚が決まっている美穂まで疑うなんて。私ってば、被害者意識が強すぎる。
その佐久良が愛理の方を向いた。視線が合うと口角を上げ薄く笑う。
「そういえば、淳クンは元気? 学生時代から付き合って、結婚するなんていいわよね。お伽噺みたい。結婚2年目だっけ?」
「うん……」
「いいわね。私も淳クンみたいな御曹司と結婚したいなぁ」
佐久良の言葉にゾワリと悪寒が走る。淳と結婚したいと言っているようにしか聞こえない。
「御曹司とかって……。そんなにすごくないよ。御曹司って美穂の婚約者の田丸さんのような人を指す言葉だよ」
「でも、親の会社の跡取りだし、御曹司だよね。あー、私も大学時代に頑張れば良かった。アハハ」
美穂は、ブランドのバッグを持ち上げ膝の上に置いた。そのバッグは南京錠が付いたデザイン、MがインストにUPしていた物と同じだ。
それに気付いた愛理は、ひゅっと息を飲み込む。
表情を固くさせた愛理をよそに、美穂はバッグから薄いグリーンのバラが印刷された封筒を取り出し、3人に手渡した。
「これ、招待状なの。よろしくね」
その封筒には、各自のフルネームが記入されている。愛理の封筒には、”中村愛理様”と書かれていた。
自分の封筒から視線を上げると、美穂の横に座る佐久良へ渡された封筒の文字が目に留まる。
” 佐久良 麻美様 ”
「え!?」
いつも佐久良と呼ばれていて、フルネームなど気にしたことが無かった。
でも、淳のLIMEのあやしい人物の ”浅見" は、もしかしたら ”麻美” ではないのかという、考えが過る。
その一方で、淳の不倫相手がインストにUPしていたバッグを同じ物を持っている美穂のことも疑わしく思えてしまう。
── 佐久良ならともかく、御曹司と結婚が決まっている美穂まで疑うなんて。私ってば、被害者意識が強すぎる。
その佐久良が愛理の方を向いた。視線が合うと口角を上げ薄く笑う。
「そういえば、淳クンは元気? 学生時代から付き合って、結婚するなんていいわよね。お伽噺みたい。結婚2年目だっけ?」
「うん……」
「いいわね。私も淳クンみたいな御曹司と結婚したいなぁ」
佐久良の言葉にゾワリと悪寒が走る。淳と結婚したいと言っているようにしか聞こえない。
「御曹司とかって……。そんなにすごくないよ。御曹司って美穂の婚約者の田丸さんのような人を指す言葉だよ」
「でも、親の会社の跡取りだし、御曹司だよね。あー、私も大学時代に頑張れば良かった。アハハ」