だって、しょうがない
掲示板の男性から指定されたKittaHAKATAのエンジェルポストに着いた愛理は、スマホのカメラ機能を鏡代わりに使って自分の姿を確認していた。
ここに来る途中にあった化粧室に入り、手持ちの化粧品でメイクをしたけれど、下地をきちんとしていないので崩れていないのか気になった。
知らない男の人とこれから会うと思うと、不安が先に立ち、ソワソワと落ち着かない。
スマホを仕舞い、目印になるようにと買ったファッション雑誌Gleamを胸元へ引き寄せ顔を上げた。その視線の先、雑踏の中、自分の方へ真っ直ぐに歩いて来る黒いジャケットを着た背の高い男性の姿を見つける。
背の高い男性は、アプリ内の掲示板で見た写真と同じ帽子を被っていた。
それに気づいた愛理の胸の鼓動がドキドキと早く動き出す。
深く被った帽子の間からは、アッシュグレーの髪が見える。
その髪色が心当たりのある人物と重なり、愛理の鼓動は余計に早く動いた。
「こんばんは、お約束のあいさんで……」
声を掛けられ視線が絡んだ瞬間に男性の瞳は驚いたように見開き、言葉が途切れた。
「あの、まさか、北川さんがお越しになるとは……こんな偶然ってあるんですね。ごめんなさい。わざとじゃないんです。私じゃ嫌ですよね」
まさか、昨日、美容室で施術をしてくれた美容師の北川と出会い系サイトで会う事になるなんて、思ってもいなかったことだ。出会い系サイトを利用して知り合いに会うなんて気まずくて、愛理はこの場から逃げ出したくなった。
「いえ、昨日、素敵な方だなと思っていたんです。まさか、こんな形で再会するとは思ってもいなくて……。本来ならお店のお客様とは私的に会わないんですけど、これは、特別な出会いです」
ここに来る途中にあった化粧室に入り、手持ちの化粧品でメイクをしたけれど、下地をきちんとしていないので崩れていないのか気になった。
知らない男の人とこれから会うと思うと、不安が先に立ち、ソワソワと落ち着かない。
スマホを仕舞い、目印になるようにと買ったファッション雑誌Gleamを胸元へ引き寄せ顔を上げた。その視線の先、雑踏の中、自分の方へ真っ直ぐに歩いて来る黒いジャケットを着た背の高い男性の姿を見つける。
背の高い男性は、アプリ内の掲示板で見た写真と同じ帽子を被っていた。
それに気づいた愛理の胸の鼓動がドキドキと早く動き出す。
深く被った帽子の間からは、アッシュグレーの髪が見える。
その髪色が心当たりのある人物と重なり、愛理の鼓動は余計に早く動いた。
「こんばんは、お約束のあいさんで……」
声を掛けられ視線が絡んだ瞬間に男性の瞳は驚いたように見開き、言葉が途切れた。
「あの、まさか、北川さんがお越しになるとは……こんな偶然ってあるんですね。ごめんなさい。わざとじゃないんです。私じゃ嫌ですよね」
まさか、昨日、美容室で施術をしてくれた美容師の北川と出会い系サイトで会う事になるなんて、思ってもいなかったことだ。出会い系サイトを利用して知り合いに会うなんて気まずくて、愛理はこの場から逃げ出したくなった。
「いえ、昨日、素敵な方だなと思っていたんです。まさか、こんな形で再会するとは思ってもいなくて……。本来ならお店のお客様とは私的に会わないんですけど、これは、特別な出会いです」