だって、しょうがない
10
シティホテルの部屋から眺める博多の街は、一夜の闇の中きらめいていた。それをカーテンで包むと、部屋は北川と愛理、ふたりだけの空間になる。
ほんの 少しの後ろめたさと、これからの期待が心の中で交差する。そんな愛理の背中を北川はそっと抱き寄せた。
「あいさん、今日は一緒にいてくれて、ありがとう」
背中を包み込む北川の耳元で聞こえる声に心がくすぐられる。
「私も独りで居たくなかったから……。KENさんと会えて良かった」
そう言って、愛理は腰のあたりで組まれている北川の手に視線を落とした。
「KENさんの手……」
「手?」
「男らしい大きな手なのに、繊細な動きをして綺麗だと思って……。それにとても優しく包み込むように触れるのが心地よくって、安心感があって好きです」
愛理はそっと北川の手の上に自分の手を重ねた。
「そんな褒められ方は初めてだな、なんだか恥ずかしいや」
北川は本当に照れているようで、愛理の肩へ顔を埋めた。肩に少しばかりの重みを感じ、アッシュグレーの髪が頬に触れる。愛理は背中から伝わる北川の温かみ味わう。
自分より年上で背も高く男らしい北川を、なんだか可愛らしく感じてしまう。出会ったばかりなのに愛おしい。この魅力的な人をもっと知りたい。と愛理の中で、そんな感情が湧き起こる。
「KENさん、今日は私の恋人になってもらえますか?」
肩に顔を埋めていた北川が顔を上げた。耳元で彼の声がする。
「いいよ。恋人なら目いっぱい甘やかしてあげられる」
そう言って、腰にあった彼の手が徐々に上がり、愛理の顎先を捕らえて、横を向かせた。
北川からふわりと魅惑的なウッディアンバーの香りが漂い、唇に温かく柔らかな感触を感じる。
ほんの 少しの後ろめたさと、これからの期待が心の中で交差する。そんな愛理の背中を北川はそっと抱き寄せた。
「あいさん、今日は一緒にいてくれて、ありがとう」
背中を包み込む北川の耳元で聞こえる声に心がくすぐられる。
「私も独りで居たくなかったから……。KENさんと会えて良かった」
そう言って、愛理は腰のあたりで組まれている北川の手に視線を落とした。
「KENさんの手……」
「手?」
「男らしい大きな手なのに、繊細な動きをして綺麗だと思って……。それにとても優しく包み込むように触れるのが心地よくって、安心感があって好きです」
愛理はそっと北川の手の上に自分の手を重ねた。
「そんな褒められ方は初めてだな、なんだか恥ずかしいや」
北川は本当に照れているようで、愛理の肩へ顔を埋めた。肩に少しばかりの重みを感じ、アッシュグレーの髪が頬に触れる。愛理は背中から伝わる北川の温かみ味わう。
自分より年上で背も高く男らしい北川を、なんだか可愛らしく感じてしまう。出会ったばかりなのに愛おしい。この魅力的な人をもっと知りたい。と愛理の中で、そんな感情が湧き起こる。
「KENさん、今日は私の恋人になってもらえますか?」
肩に顔を埋めていた北川が顔を上げた。耳元で彼の声がする。
「いいよ。恋人なら目いっぱい甘やかしてあげられる」
そう言って、腰にあった彼の手が徐々に上がり、愛理の顎先を捕らえて、横を向かせた。
北川からふわりと魅惑的なウッディアンバーの香りが漂い、唇に温かく柔らかな感触を感じる。