だって、しょうがない
午後8時、前回と同じ待ち合わせ場所のKittaHAKATAのエンジェルポストまで、あと少しの距離。
愛理は、浮き立つ気持ちを押え足を進めた。雑踏の中、視線の先にアッシュグレーの髪色の背が高い北川の姿を見つける。
彼は、黒いカットソーに合わせて黒いデニムを履き、グレーのイタリアンカラーのジャケットが、バランスの良い体躯を際立たせ、遠くからでも見つけられるほど、周囲の目を引く存在感を醸し出していた。
そのモデルのような北川へ、エンジェルポストの近くにいる二十代半ばぐらいの女の子が、チラチラと視線を送っている。
パッチリとした瞳に整ったボブヘアー、自信に満ち溢れる佇まい。
既婚者である自分よりも彼女の方が、北川に相応しいような気がして、立ち竦んでしまう。
このまま、人ごみに紛れて消えてしまえば、北川とは2度と会う事もない。
そう思いあたり、今来た道へ戻ろうとした。
瞬間、北川が愛理を見つけ、嬉しそうに破顔する。愛理の瞳は、その笑顔に囚われてしまった。
──あ、私……。また、逃げ出そうとしていた。そんな事をしたら、北川さんに待ちぼうけをさせて仕舞うところだった。
何かあると逃げだそうとする悪い癖がある。逃げても良いことなんてないのに……ホント、私ってダメだ。
自分自身を幸せにするために、逃げるのはやめよう。
笑顔を浮かべる北川のもとに歩き出した。
愛理は、浮き立つ気持ちを押え足を進めた。雑踏の中、視線の先にアッシュグレーの髪色の背が高い北川の姿を見つける。
彼は、黒いカットソーに合わせて黒いデニムを履き、グレーのイタリアンカラーのジャケットが、バランスの良い体躯を際立たせ、遠くからでも見つけられるほど、周囲の目を引く存在感を醸し出していた。
そのモデルのような北川へ、エンジェルポストの近くにいる二十代半ばぐらいの女の子が、チラチラと視線を送っている。
パッチリとした瞳に整ったボブヘアー、自信に満ち溢れる佇まい。
既婚者である自分よりも彼女の方が、北川に相応しいような気がして、立ち竦んでしまう。
このまま、人ごみに紛れて消えてしまえば、北川とは2度と会う事もない。
そう思いあたり、今来た道へ戻ろうとした。
瞬間、北川が愛理を見つけ、嬉しそうに破顔する。愛理の瞳は、その笑顔に囚われてしまった。
──あ、私……。また、逃げ出そうとしていた。そんな事をしたら、北川さんに待ちぼうけをさせて仕舞うところだった。
何かあると逃げだそうとする悪い癖がある。逃げても良いことなんてないのに……ホント、私ってダメだ。
自分自身を幸せにするために、逃げるのはやめよう。
笑顔を浮かべる北川のもとに歩き出した。