だって、しょうがない
自家製の胡麻ダレに浸かったカンパチや新鮮なお刺身、手羽先チキンなどが、個室のテーブルの上に並ぶ。乾杯とグラスを合わせると、柚子の香りがするフルーティーなクラフトビールが喉を潤した。
「あいさん、どれ、食べる? サラダ取ろうか?」
北川の世話焼きが始まると、愛理は思わずクスリと笑い口を開く。
「ありがとう。私の事より、KENさんいっぱい食べて」
「あ、ごめん。また、余計な事を……」
と言って北川は、怒られた子犬のように項垂れた。
「違うの、お仕事が終わって、お腹が空いているだろうから食べて欲しかったの。KENさんにかまわれるのは、むしろ嬉しいからそんなに気を落とさないで」
「それなら良かった」と北川はホッとした顔を見せる。
「私、長女だから世話を焼かれるより、世話を焼く側だったの。子供の頃、お兄ちゃんが欲しかったのを思い出しちゃった。KENさんのようなお兄ちゃんが居たら楽しかっただろうな」
「僕も長男で、弟が居るんだ。とはいえ、年が10も離れていたから可愛くてね。でも、あいさんが妹じゃなくて良かったよ。妹だったら心配で心配で、超過保護になって嫌われそうだ」
北川の過保護なお兄ちゃんぶりを想像してしまって、愛理はクスクス笑いが抑えきれない。
「KENさん、超過保護って……。意外と束縛系なんですね」
揶揄うように言うと、バツが悪そうに視線を泳がせた北川が、何かを思いついたように口を開く。
「んー、かもしれない……。けど、好きになったら、自分だけを見て欲しいと思うのは、自然な気持ちだと思うんだ。まあ、付き合うときは、相手の負担にならないように気を付けるけどね」
「あいさん、どれ、食べる? サラダ取ろうか?」
北川の世話焼きが始まると、愛理は思わずクスリと笑い口を開く。
「ありがとう。私の事より、KENさんいっぱい食べて」
「あ、ごめん。また、余計な事を……」
と言って北川は、怒られた子犬のように項垂れた。
「違うの、お仕事が終わって、お腹が空いているだろうから食べて欲しかったの。KENさんにかまわれるのは、むしろ嬉しいからそんなに気を落とさないで」
「それなら良かった」と北川はホッとした顔を見せる。
「私、長女だから世話を焼かれるより、世話を焼く側だったの。子供の頃、お兄ちゃんが欲しかったのを思い出しちゃった。KENさんのようなお兄ちゃんが居たら楽しかっただろうな」
「僕も長男で、弟が居るんだ。とはいえ、年が10も離れていたから可愛くてね。でも、あいさんが妹じゃなくて良かったよ。妹だったら心配で心配で、超過保護になって嫌われそうだ」
北川の過保護なお兄ちゃんぶりを想像してしまって、愛理はクスクス笑いが抑えきれない。
「KENさん、超過保護って……。意外と束縛系なんですね」
揶揄うように言うと、バツが悪そうに視線を泳がせた北川が、何かを思いついたように口を開く。
「んー、かもしれない……。けど、好きになったら、自分だけを見て欲しいと思うのは、自然な気持ちだと思うんだ。まあ、付き合うときは、相手の負担にならないように気を付けるけどね」