だって、しょうがない
北川の指の動きに合わせ、しどけなく弛んだ膝が開く。
 導かれるように、薄い繁みの奥へ彼の指が分け入って、花芽を探り当てた。指の腹で撫でられると、そこから火照り、腰が揺らぎ始める。口からは甘い声が漏れていた。

「あっ……あ、KEN……さ……」

 優しく甘やかされて、ぽっかり空いた心の穴を埋められて、一時の恋だとわかっているのに、離れたくないと広い胸へ身を寄せた。
 口にすることなど出来るはずもない想いを、胸の奥に秘めて名前を呼びかける。

「KENさ……ん」

「あいさん、もっと気持ち良くなって……」

 そう言って、花芽を撫でていた指先が少し下へと移り、たっぷりと溢れた蜜が彼を誘う。つぷっと節のある指が、身の内側へ入ってくる。内壁を撫でられ、粘り気のある水音がピチャピチャと聞こえた。
 
 ふれあう肌の温かさも、吐く息の甘さも、自分を見つめる瞳もすべてが愛おしくてたまらない。焦がれるほどに欲しくなり、腰が揺れる。

「も……イキ……そう」

「いいよ、イッて」

 艶のある声でささやかれ、愛理の中で、彼の指が早く動く。
 
「いや……も……きて」

「ん……イッたらね」

 愛理は、ねだるように彼の首元へ手を伸ばし引き寄せた。
 それに応えるように北川は唇を重ねる。
 愉悦という名の大きな波が愛理の中で巻き起こり、絶頂へと導かれた。

 

 
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