シャロームの哀歌
「さぁ、早く取り込まなくちゃ」
乾燥した風に舞い踊る洗濯物と格闘しながら、ミリは手早く籠に収めていった。
山盛りになった洗濯籠を、古傷の傷みを無視して運びだす。これが終わったら、次は夕食の準備が待っている。
流れ着いた孤児院で、衣食住の対価として始めた生活だ。やることに追われる日々は、足が不自由なミリにとってそれは過酷なものだった。
だが子供たちの笑顔が容易くそれを忘れさせてくれた。
育ち盛りの子供たちは驚くほどの量をあっという間に平らげる。先日買ってきたばかりの食材は、もう残りわずかとなっていた。
(明日はイザク様が来られる日)
失礼があってはならない大事な方だ。きちんと出迎えるためにも、午前のうちに買い出しを済ませておかなければ。
癒え切らない片足を引きずりながら、重い籠を抱え急ぎ建物へと向かった。
「ミリ」
「イザク様……!」
たった今、心を占めていた人物の登場にミリの鼓動が跳ね踊る。
「来られるのは明日ではなかったのですか!?」
「ミリの顔が見たくて一日早めたんだ」
「そんな……! あ、いけません、イザク様にそんなものを運ばせるわけにはっ」
イザクは寄付を定期的に施してくれる王都に住まう役人だ。ここだけでなく、私財を投げ打ち各地の孤児院を援助するほどの人格者だった。
そんな彼に奪われた籠を取り戻そうと、ミリは慌ててその背を追いかけた。途中痛みが走り、ミリの足がもつれそうになる。
「危ない、ミリ!」
「きゃあっ」
乾燥した風に舞い踊る洗濯物と格闘しながら、ミリは手早く籠に収めていった。
山盛りになった洗濯籠を、古傷の傷みを無視して運びだす。これが終わったら、次は夕食の準備が待っている。
流れ着いた孤児院で、衣食住の対価として始めた生活だ。やることに追われる日々は、足が不自由なミリにとってそれは過酷なものだった。
だが子供たちの笑顔が容易くそれを忘れさせてくれた。
育ち盛りの子供たちは驚くほどの量をあっという間に平らげる。先日買ってきたばかりの食材は、もう残りわずかとなっていた。
(明日はイザク様が来られる日)
失礼があってはならない大事な方だ。きちんと出迎えるためにも、午前のうちに買い出しを済ませておかなければ。
癒え切らない片足を引きずりながら、重い籠を抱え急ぎ建物へと向かった。
「ミリ」
「イザク様……!」
たった今、心を占めていた人物の登場にミリの鼓動が跳ね踊る。
「来られるのは明日ではなかったのですか!?」
「ミリの顔が見たくて一日早めたんだ」
「そんな……! あ、いけません、イザク様にそんなものを運ばせるわけにはっ」
イザクは寄付を定期的に施してくれる王都に住まう役人だ。ここだけでなく、私財を投げ打ち各地の孤児院を援助するほどの人格者だった。
そんな彼に奪われた籠を取り戻そうと、ミリは慌ててその背を追いかけた。途中痛みが走り、ミリの足がもつれそうになる。
「危ない、ミリ!」
「きゃあっ」