愛はすぐそばに
3年のクラス発表のとき、浅倉の名前を見付けたとき、涙が出てきそうなくらい嬉しかった。



"将来会えなくなるのならこの1年間浅倉のこと好きでいていいかな"




ある日のことだった。

同じクラスの男子が浅倉に告白するということを知った。



浅倉を忘れるには都合のいいことかもしれない。

でも悔しかった。



病気じゃなければ、僕だって自分の気持ちを伝えてたかもしれない。


好きだと、

たったその一言さえ、病気という事実がしばりつけ、その言葉を出すことさえ許されないように思えた。




正直、浅倉から告白の返事が帰ってきていないと聞いた時は嬉しかった。



いつだっただろうか。


なぜか浅倉は悲しそうな目をして僕の方を見ていた。


偶然僕のところを見ていただけかもしれない。


でも浅倉の目には僕と同じように気持ちが隠れているようで忘れることができなかった。



中学3年になってからあっという間に一日一日が過ぎていき、卒業式は近づいていた。



浅倉との別れが近づくたびに僕の心には悲しさと悔しさが増えていった。

"病気なんてなければ"


いつもそう思った。
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