願わくば、再びあなた様と熱い口づけを。
「……俺は、あざみ……お前さんを利用していた」
その言葉に私は静かに頷きました。
煌之介が何のために私と馴染みになってこの見世に出入りしていたかに気づいておりました。
いつ見世にいてもおかしくないよう、馴染み客として見世に入り込むのが目的でした。
その相手として煌之介の同情を買ったのが私であった。
それだけのこと。
全てをわかっていながらも私は煌之介を愛さずにはいられませんでした。
煌之介の言葉があったからこそ、私は顔を上げて生きていけるようになりました。
利用されてても良かったのです。
煌之介の目に私が映るその瞬間さえ見れればそれで良かったのです。
私は頬に涙を伝せ、煌之介の手を取ると火傷のない頬でそっと擦り合わせました。
この熱い手が私を引き上げてくれたのです。
どぶの中で生涯を終えるはずだった私の生きる希望となっていたのです。