願わくば、再びあなた様と熱い口づけを。
「……俺は、お前に大人になって欲しくなかったよ」
その言葉に私の足は力が入らなくなり、カクンとその場に座り込みます。
十五は一度にっこりと微笑むと私に背を向け、去っていきます。
私は口元をおさえ、溢れ出しそうな気持ちを押さえ込みました。
姐さん方に嫉妬する一方で、自分の想いを口にしてはならないと押さえます。
矛盾に心が張り裂けそうでした。
私が大人になるということは客を取るということ。
この身が、心が、どれだけ十五を欲しようが捧げることは出来ないのです。
十五と出会ったあの日から私の心は十五に囚われています。
大嫌いだったこの青い瞳も十五が綺麗だと言ってくれたことで好きになれました。
今はこんなにも嫉妬にまみれ、いつか何処ぞのものとも知れぬ男に暴かれるこの身が嫌いになりました。
叶うのならば十五に触れ、触れられて愛を囁き囁かれたい。
大人になり十五に振り向いて欲しいと思うのに、大人になればなるほど十五との距離が開いていく。
私はとっくに見えなくなった十五の姿を追い求めて、その場に泣き崩れるのでした。
また時が流れて、一年。
数えて十六の歳になった私は主に呼び出され、主と二人向き合っていました。